大判例

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広島高等裁判所 昭和29年(う)252号 判決

関税法第八十三条第三項に該当する原価を追徴するに当つては刑法第十九条に優先して右法条を適用すべきものであること、原判決が所論追徴をなすに当り旧関税法第八十三条第三項を適用せず刑法第十九条第一項第四号第二項第十九条の二を適用していることは所論の通りである。しかしながら旧関税法第八十三条の規定は同条に規定のない事項或は規定の範囲を超える事項について刑法第十九条の適用を排除する趣旨ではないと解すべきである。而して記録によると被告人会社は崔達龍より故買した本件の真鋳一頓七七七瓩位の中一頓〇七三瓩位を情を知らない神鋼金属株式会社に原価を遥かに超える代金二十五万三千三百五十円で売却し同代金を受領の上費消している事実を認め得るのである。右の事実関係によると故買行為に因り得た物の対価二十五万三千三百五十円を没収することができないのであるから、関税法第八十三条第三項の関係を離れると、刑法第十九条第一項第四号第二項同条の二に則り被告人会社より同金額の追徴をなし得べきことは異論なかるべく、只問題はこの場合原価の範囲においては旧関税法第八十三条第三項が必要的追徴を規定しているのであるから同条項を適用し、原価を超える部分についてのみ前記刑法各条項を擬律すべきではないかとの疑問である。しかし以上のように特殊な場合においては旧関税法第八十三条第三項の必要的追徴の趣旨に反しない限り追徴金の全額について前記刑法各条を一括適用しても必ずしも違法ではないものと解すべきである。

(裁判長判事 伏見正保 判事 村木友市 判事 三井明)

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